2013年11月4日月曜日

授業の在り方について。反転授業やアクティブラーニングなどの取組をどのように取り入れるべきか

授業方法については、常に改善を目指し、試行錯誤し模索している。

例えばビジネス基礎という商業科目がある。
授業内容については下記の高等学校学習指導要領解説の17ページ以降を参照していただければ詳しく載っている。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/06/01/1282000_14.pdf

僕はこの授業を去年から担当している。
ビジネス基礎という科目は、普通教科・科目でいうと教科「公民」の科目「現代社会」に近い内容で、ビジネスにフォーカスした内容を理解するというのが目的である。
こういった内容は、通常知識詰め込み系の授業になりやすく、僕以前の担当者はみんな「板書して教科書を教える」という従来の一斉学習を行っていた。

しかし、僕がこの授業で重視しているのは「アウトプット」、それも「書く」というアウトプットではなく、「話す」というアウトプットを重視している。
知識はただ知っているだけでは価値がなく、活用されてこそ価値がでる。
テストでインプットされたものをそのまま書けたって内容を本当に理解していないと活用できない。

そのためには「授業内で板書して話を聞いて知識をインプットさせる」なんてやってられない。
なので、授業内でのインプット時間短縮のため予習(家庭学習でのインプット)を徹底してやってもらうことにした。
予め次の授業の範囲を生徒に示し、各自の手帳(スケジュール帳)に書き込ませる。
※手帳は能率手帳プランナーズが高校生向けに出している「スコラ」を使用している。 https://www.noritsutecho-planners.co.jp/scola/original_student.html

まずは大前提として
0 予習
そして本授業は次のようなプログラムで進める。
1 予習の確認・口頭テスト(10分間)
2 予習範囲の補足説明(板書、教科書)(10分間)
3 予習範囲の学習内容に沿ったテーマについてグループ(4・5人)で話し合う(10分間)
4 各グループで話し合った内容の発表と振り返り(15分間)
5 次の授業内容の範囲確認(何ページから何ページまで)と事前説明(どういう内容か)(5分間)

1の予習の確認・口頭テスト(10分間)では10人から15人くらいにキーワードを問う形で進める。予習してきたかの確認なのでノートは見てもよいが、教科書は当然見てはならない。こういった外発的動機付けはあまりしたくないのだが、ある程度の強制力がないと予習してこないため仕方ない。
手帳やノートは1ヶ月に1回は集め、その日のうちにチェックして返している。

2の 予習範囲の補足説明(板書、教科書)(10分間)は自分たちだけで教科書見て学習してもその内容が理解できていない場合や教科書外で補足する内容もあるため、その内容についてコンパクトに分かりやすく説明する必要がある。

3の予習範囲の学習内容に沿ったテーマについてグループ(4・5人)で話し合う(10分間)というのは、例えば学習内容が「保険」だったとすると、テーマは「新しい保険を考えてみよう」だったり「保険がないとどうなるか」だったりする。具体的に、何をリスクとするか、保険金の額はどの程度にすればよいかとか、保険の相互扶助の精神はどう活かされているかなどを考えさせる。その際に、「失恋保険」などの興味を引くサンプルを出し、リスクは「失恋」であること、保険金は「失恋して自棄食いするための食費分」くらいだとか、自分だけでなく誰しも失恋する可能性はあるのだから、自分が失恋しなくて「掛け捨て」になったとしてもそれは誰かのためになっているから「相互扶助」だよね、などとアイデアを出しやすく高校生の身近(?)なものにすると議論が沸きやすくなったりする。
当初はファシリテーター役や司会役、記録役を決め、交互に役を変えたりもしていたが、あまり上手く機能しなかったため、いまはグループに任せてある。

4の各グループで話し合った内容の発表と振り返り(15分間)では何グループかに発表をさせて(前グループの場合もあるが時間次第)情報の共有を図ると共に教師側でまとめて振り返りを行うことで学習の深化を行う。

5で次の授業について説明し確認・準備をさせる。

昨年1年間と今年半年ほどやってみてその成果が出ているかというと、比較対象となる集団がないため検証しづらい部分があるが、前年度の検定結果等で比較すると以前の一斉授業よりかは知識が定着しているのではないかと思う。

課題はたくさんある。
この授業の難しいところは、0予習の個人差と3のテーマの設定とグループによる話し合いの差をどう埋めるかというところがある。
予習は単にノートを写すだけ、理解していない、という生徒が多くなる危険があるし、テーマによっては話し合いにくい、話せないといった場合もある。

反復学習のようにまずeラーニングで授業を見てもらい、それの補完を本授業でグループ学習やディスカッション・ディベートのようなアクティブラーニングで行う方法が最も効果的なのは分かるが、私が現在担当している生徒の学習に対するレディネスはあまり高くなく、自宅でのeラーニング学習環境(パソコンやタブレットでネットにつないでいなくケータイやスマホでネットを閲覧)も高くない。

それでも反復学習は試行すべきだとは思っている。
eラーニング教材を今年中には用意したいし、アクティブラーニングではジグソー法も取り入れていきたい。
学習のモチベーションは、内発的動機付けを目指さなければならない。
評価や報酬をもとにした外発的動機付けよりも学習内容自体に興味を持つ内発的動機付けのほうが持続性や発展性が高いことは当然だ。

授業内容が面白い、勉強自体が楽しいという体験を積み重ねることが社会に出てからの学習への態度を決めていくと思う。

そのためにまずは さらなる自分への研修が必要だ。
良い研修会あったら教えてください。
飛んでいって、どう取り入られるか考えて、使えるモノは授業にフィードバックします。